どうして失われた20年の終わりが見えないのか?共栄精神を見失ってる日本

日本のお国の人間なら、日本がこれだけ進んだことを喜んでいいはずなのだ。古い自分のしょうばいが失われるからとて、世の中の進むのにじゃましようとしたり、何の怨みもない人を怨んで火をつけようとしたのは、男として何という見苦しいざまであったことか。世の中が進んで、古いしょうばいがいらなくなれば、男らしく、すっぱりそのしょうばいは棄てて、世の中のためになる新しいしょうばいにかわろうじゃないか。――

新見南吉 「おじいさんのランプ」

新見南吉さんの代表作「ごんぎつね」は、現在でさえ小学校の国語の教科書に採用されています。1913年生まれの彼が、敗戦前の1943年、29歳の若さで亡くなる直前に書いたのが「おじいさんのランプ」だそうです。

おじいさんのランプ 全文(著作権が切れてるので誰でも読めます。短編です)

 

松下幸之助は他社製品より使いやすく壊れにくい製品を安い価格で売りました。
「アイロンを使いたい姉と、本を読むために電灯をつけたい妹が口論をしている姿を町で目撃した松下幸之助が、(当時の電気事情の下でも)姉妹同時にアイロンと電灯を使うことができるようにと」考えて最初のヒット商品、二股ソケット誕生が誕生したそうです。(wikiより)

 

戦後日本の歴史で最もイノベーションに富んだ企業として、かつて世界に名を轟かせたソニーも、最初に名をなした商品は遊び心に乏しいトランジスタラジオでした。
小型なだけでなく、商品自体も従来のラジオより安価、そして「電池代がいちばん安いトランジスタラジオ」というのが売り文句でした。
まだテレビが普及せず、ラジオしか頼るもののなかった1950年代、どれだけ多くの人が助かったかしれません。

 

高度成長期までの成功者は、他人より秀でることより、同じ苦労を持つ多くの人を楽にしたいという気持ちで動く人が多かったのです。
欧米の商品を真似たり、またはパナソニック=松下電器が「(パクリの多い)真似した電器」と陰口を叩かれたりしたように、魅力のある商品を真似て研究して、より安い、より人々の手に入りやすい商品の開発を目指した――。

パクリだとか、ルールを守らないとか、日本の本来の価値観からすると、本当に重要なことではないのです。
パクろうが、今までのルールを変えようが、世に生きる人の役に立つことをする―――それが重要なのです。
ルールというものは人がよりよく生きるために人が作るものであって、ルールに従うために人がいるのではありません。

 

「何という見苦しいざま」

「おじいさんのランプ」のこの言葉で心に浮かぶのは、日本マスコミにあふれる中国に対する否定的な報道です。

もちろんアメリカの統治、指導のもと、平和と繁栄を甘受してきた日本では、アメリカ寄りの偏向報道もやむをえないでしょう。

けれど中国が繁栄したことによって、中華圏すべて、そして周辺のアジアも豊かになっている。日本が戦争に身を投じてまで繁栄を願ったアジアに満足に暮らせる人が増えている。リーダーが日本でなくったって、日本人の描いた理想と違ったって、基本的には素晴らしいことなのです。
中国と違った人権意識を持つ西側諸国の知識層でさえ、この点では中国を高く評価しています。
欧米人の成功者は、神に選ばれ、神の与えた使命を全うするために生きていると考えます。成功して巨万の富を得たり、移民や黒人を手足のように使う権力を与えられたのも、神の意思であり祝福なのです。神の意思というものに対しては、彼らはユダヤ教徒であろうとキリスト教徒であろうと、驚くほど謙虚です。

欧米人はそう生きるよう、彼らの神が定めたのでしょう。肉食の獣が肉を食べ、夜行動物が夜に活発になるように、彼らの価値観は天から授かった個性であり、伝統なのです。

 

しかし、日本はキリスト教の神に守られた歴史の国ではありません。

アジア圏にあり、仏教、儒教、神道を信奉してきた国です。特に倫理観においては”苦の中にある全ての生き物たち(一切衆生)を救いたい”という大乗仏教の影響の下に長い歴史を築いてきました。

気の迷いが生じた時代もありましたが、私たちの先祖から受け継いだ血や、精神の根本はやはり変わりません

 

よく言われます。
「なぜ日本からアップルが出ないのか?ジョブズが出ないのか?」

当たり前です。日本はそういう文化の国じゃないからです。皆の憧れになることを夢見るのではなく、皆の人生をよりよくする夢を持つことが本来の日本人の姿なのです。

日本生まれのアップルやジョブズを期待してるままでは、失われた20年が30年になるのを待つだけでしょう。

 

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