なぜ争う?キリスト教の神とイスラム教のアッラーは同じ神

現代の日本では、宗教に否定的な人が多いですね。

その理由に、狂信的なイスラム教徒の自爆テロや内紛をあげる人は少なくありません。

しかし、欧米人が信仰するキリスト教に対してはポジティブなイメージを持っている人が多いですね。

・・・どういうわけか、日本でキリスト教の神ヤハウェ(エホバ)と、イスラム教のアッラーが同じである事実が話題になることは、あまりありません。
教科書にも載っていませんね。
日本人はどのぐらい知っている方がいるんだろう?と思います。

キリスト教圏でもイスラム圏でも常識なことなのですが・・・。

しかも、この2つは両方ともユダヤ教を母体にしているのです。

ともにユダヤ教から生まれた二大宗教

ユダヤ民族の祖をアブラハムといいます。

彼は旧約聖書の「ノアの方舟」のノアが大洪水の際、ともに船に乗せた三人の息子の一人、セムの子孫です。
(ノアの三人の息子とは?→「日本人はヤペテの子孫?白人も白熱する「ノアの子孫」論争」)

ユダヤ系の民は皆、このアブラハムの子孫と考えられています。

アブラハムには妻が二人いました。

一人は正妻、サラ。

もうひとりはサラの召使いだったエジプト女性、ハガルです。

アブラハムとサラは結婚後、長い間、子ができませんでした。アブラハムに子をもたせるために、サラは自分の召使いのハガルを夫にあてがいます。

やがてハガルは身ごもり、イシマエルという息子をもうけます。

アブラハムの子を産んだハガルは正妻サラを敬わなくなります。結果、サラの怒りを買い、息子とともにアブラハムのもとから出ていくことになります。

その後、神がアブラハムのもとを訪れ、彼とサラとの間に息子ができると告げます。当時、老婆の年齢だったサラは神の言葉を信じませんでしたが、後に本当に子を産むことになります。

この正妻サラとの間に生まれた次男をイサクといいます。

その後、次男イサクは父の後を継ぎ、ユダヤ民族の祖の一人となります。
その子孫からやがて、イエス・キリストが誕生します。

以上が、旧約聖書にあるイシマエル、イサク誕生の物語です。
 
父と別れた長男イシマエルは成長し、アイシャという女性と結婚します。

そして後のイシマエルの子孫からイスラム教の開祖、ムハンマド(マホメット)が誕生した・・・キリスト教徒とイスラム教徒の間で温度差があるものの、一般的にはそう信じられています。

コーランの中に書かれたイエス

旧約聖書は次男イサクがアブラハムの正当な後継者としています。

一方、イスラム教は長男であるイシマエルこそ、正当であるとしています。

 

キリスト、ユダヤ教圏では正妻は一人ですが、イスラム教圏では正妻を複数持つことが認められていますね。

この慣習の差がイシマエルとイサクに対する正当性への認識の差と関係しているかもしれません。

ムハンマドもコーランの中で、男性が複数の妻をめとる制度を奨励しています。

 

イスラム教の経典コーランには旧約聖書内の人物であるモーセやエゼキエルといった預言者も登場します。
(関連リンク→日本wiki「イスラム教の預言者」)

イエス・キリストも登場します。アラビア風にイーサーとよばれ、ムハンマドに先立つ神の預言者という扱いになっています。

そしてコーランはムハンマドを最後の、最終の預言者としています。

イスラム教とキリスト教は同じ神を信仰しているのだから、信徒同士は仲良くすべしというのが、コーランを残したムハンマドの教えです。

 

キリスト教とイスラム教 なぜ争うのか?

ムハンマドの言葉に反して、キリスト教徒とイスラム教徒の歴史は争いが多いですね。

同じ神を信仰してる者同士、なぜ争うのでしょう?

アメリカのヤフー知恵袋に「なぜムスリムとクリスチャンはお互いを嫌うのか?(Why do muslims and christians hate each other?)」という質問がありました。

デリケートな問題のせいか回答は「個人的には嫌ってない」「ともに神が作ったものだ」など、あたりさわりのないものが多かったです。

それでも、ひとつだけ、考えさせられる回答がありました。

理由を言うのは難しい。たぶんキリスト教徒もイスラム教徒も、ともに信仰のためなら死ぬからだろう。
わたしたちキリスト教徒はイスラエルをキリスト教とユダヤ教のもとにおいておきたいと望んでいるが、イスラム教徒はあきらめないだろう

またオックスフォード大学のサイトにある「Muslim-Christian Relations」という記事にも興味深い記述がありました。

7世紀のイスラム教の初期から、ムスリムのコミュニティは自分たちをユダヤ教とキリスト教の後継とみなしていた。
コーランは多くの聖書の預言者に言及し、ムハンマドをこれらの預言者たちの系譜の最後の存在としている。この系譜でムハンマドにとって次に重要なのはイエスだが、コーランではイエスを神の子とせず、特に神聖な存在ともしていない。(略)
神学上の違いは早くから明確になり、二宗教間の主要な課題として歴史を通して現れ続けることとなった

・・・イエスの神聖さをどう認めるかが、イスラム教とキリスト教の分岐点のひとつなのかもしれません。

イエスをどう解釈するかということは、ユダヤ教とキリスト教の分岐点でもありますね。
ユダヤ教ではイエスは預言者ですらなく、救世主(キリスト)もまだ現れていないことになっています。
(関連記事→「イエス・キリストの実父とは?!ユダヤ教のイエス観」)

イスラム教とキリスト教、そしてユダヤ教・・・別な宗教でないからこそ、互いに激しい争いが起こるといえるかもしれません。



白人やアラブ人といったコーカソイド人種を中心に信仰され続けているヤハウェ神=アッラー・・・。

ムハンマドの言った通り、その預言者が彼を最後に出てきていない状態なのは、気になるところですね。
イエスが活躍したのが紀元1世紀、ムハンマドが活躍したのが7世紀頃。そのあと千年以上も、彼らに匹敵する存在は現れていません。

ムハンマドもイエスも、本当の預言者だったのでしょうか・・・

このコーカソイド人種の間に根付く一神教に対しては、コーカソイドでない黄色人の一人としても、人知を超えた不思議なものを感じます。

 

https://www.everystudent.com/wires/jesusislam.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Ishmael

 

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